2010年12月14日火曜日

男子割礼。(包茎手術の見学)

同期隊員のHIVケアセンターには、Circumcision(割礼)をおこなう手術室が併設されていた。

(*割礼についての説明はページ下部参照)

早速、見学レポートに入りたいと思う。



まずもって、局部の手術なんて非常にデリケートな部分でもあるので、

たぶん無理だろうなと、こちらもダメもとで見学したいといったのだけど、


あっさりとOKがでて(もちろん患者への断りはなし)

すぐに手術室のベッド横に通してもらい、

マスクをつけてかなりの至近距離で見学できることになった。


そこから立て続けに約12歳~50歳ほどのケニア男性たちの、


年齢差や個人差によって、質も大きさも異なる6名分の?6本分の?

包茎手術をじっくり見学させてもらった。



医者も慣れたもので、所要時間は1人あたり10~15分程で流れるように終了していく。

ベットが2台あり、その間にカーテンなどの仕切りもなく、患者2人を同時進行。

その行程はとても単純で、まず陰茎全体を消毒し、付け根の部分をぐるりと囲むように麻酔を何箇所にも分けてブスブスと注射する。

これは声が漏れるほど痛いことのようで、どの人もかなり痛そうにしていた。

次に、麻酔の効きを早めるためか陰茎全体を強く揉み、包皮のみを上にぎゅーっと引っ張り上げる。

結構よく伸びるものなんだな、と感心しているあいだに、

上部3分の1程の所をパチンとクリップみたいなもので止めて、その上部をメスでサックリと切除。

もう麻酔が効きはじめているの?亀頭までサックリいっちゃってないの?


と、ドキドキさせられる程の早業であった。しかし、どの人も手術は成功していた模様。

出血の量は、包皮自体からはほとんどなかったが、包皮と陰茎の癒着度に個人差が大きく、完全に癒着している人の場合は出血も多かった。


最後に亀頭の首の部分と包皮の切り口を縫い合わせ、

先端に亀頭を出したままの状態で包帯でグルグル巻きにして終了。

術後3日間は痛み止めを飲みながら、再診の際に包帯を取り外すとのこと。


手術後に無言で、特典のファンタグレープ味(500ml)をゴクゴク飲んでいる彼らをみて

麻酔が切れたときには、どんな痛みが彼らを襲うのだろう・・・。と想像していた。

この見学レポートが何の意味を持つかは定かではないが、とりあえず見学したことの報告として載せることにした。

皆さんの何かの足しになれば・・・。


しかし何より気になったのは、かなり痛みを伴う手術なのに、

何が彼らの行動変容に繋がるキッカケになったのかということ。


息子の付き添いで来ていた父親に聞いてみると、割礼の有効性をメディアで聞いたから息子を連れてきたとのことだった。


やはり、メディアの力はケニアでも大きい。

他の地域からわざわざ来ている人もいて、

この手術自体が無料であること、ジュースがもらえることなども理由に含まれていそうである。


しかし、今回見学させてもらった患者の中で、高齢だった50歳代の男性の場合、

余計なお世話だが、今更このタイミングで一体何の目的があったのだろう・・・・、という気もする。

しかし、それは日本(私)の感覚で、この地域に住むルオ族にとっては、まだまだ子孫を残していくためにひと勝負もふた勝負も控えている年代なのかもしれない。

これから新しい妻をもらうための準備なのだろうか、と色々考えさせられた。



よって、今回のキャンペーンには相当な予算がついているとはいえ、

「割礼によってHIV感染率が60%減少」と考えると大きな成果つながりそうだ。

とにかく百聞は一見にしかず。貴重な体験だった。


【補足説明】


「割礼」
日本では耳慣れない言葉であるが、割礼というのは宗教的儀式のひとつで、男性の性器の一部を切除する事である。現在でもユダヤやイスラム、アフリカなどで行われている風習で、成人の男性が衛生上の理由から包茎手術を行う事がある。性器の一部を切除するとは男性の陰茎の皮を切り、亀頭を露出させることで包茎になることを防ぐ。
世界では人口の約6分の1の男性が割礼を受けているといわれていて、米国でも衛生上の理由で行われているが、宗教的要素はなく包皮を切ることを割礼とは呼んでいない。


包茎になると包皮と亀頭との間に排泄物の垢や残りが溜まってしまい、悪臭を放ったり腐敗したりという事で、不衛生になる。HIVウイルスも多く含まれる粘膜の部分ということで、この割礼の効果として、HIV感染の危険性が60%減少するということが研究の結果わかってきている。

日本では、成長過程において自分で皮を剥いたり、新生児のうちから両親がお風呂で少しずつ
剥ける様にしているのがほとんどで、自分で包皮をずらして亀頭を出せる状態(仮性包茎)であれば手術の必要性は低いとのこと。

さて、ここケニアでは42民族によって様々ではあるが、割礼が成人儀式として位置づけられていることも多く、本人がその痛みに耐えられるほど大人になったと判断したときに、「今こそ、割礼のときだ!」と、言うかどうかは定かではないが、割礼を受けることを親に知らせて、親戚や村民を一同に集めてお披露目するらしい。人々の前で割礼師によって麻酔なしで包皮をちょん切られ、その時に表情を崩さず、弱音を吐かないことこそが真の強い大人の男になった証であるとされている。実際、感染症や、陰茎の損傷、死者なども出ている儀式。恐ろしすぎる・・・。
しかし、病院で麻酔をかけて痛みを最小限にして行う手術は、弱虫の証とされることがあり、今でも儀式的な割礼を希望する者が多いとのこと。

今回訪問した病院はルオ族の居住するニャンザ地域。このルオ族は風習的に割礼を行っていない民族である。一夫多妻で、HIV感染率も高いこのルオ族に対して、政府のHIV対策の一環として割礼普及キャンペーンが行われていた。手術代はすべて無料で、術後には500mlのファンタグレープまでもらえる。

一方、私の住んでいるナイバシャでは割礼キャンペーンは行われておらず、割礼は外来診療で受付し、大抵は夕方以降に1日に0~3人程しか受けに来ないし、金額も約1,000円かかるということで、地域ごとにも大きな違いがある。

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